

2025年6月25日(水)午後6時30分より、練馬区男女共同参画センターえーる2階視聴覚室にて、「めぐみの会全体研修」を行いました。

リモート会場も含め約50人の方にご参加いただきました。

今回、研修を担当したのは…東京練馬区の石神井にある訪問介護事業所「めぐみの会」で活躍する職員のみなさんです。

社長が真横に座った状態での講義です…。ちょっと緊張の面持ち。
本研修は前半は「虐待防止」について学び、後半は「身体拘束」に関する講義となりました。
この記事では、当日の研修内容をふりかえりつつ、私たちが日々の現場で意識すべき重要なポイントを整理します。
まずはミニテストで「自分を見つめなおす」

研修のはじめはミニテストから。制限時間は10分。
ちなみに内容は⬇︎の画像の通り。よろしければみなさんも挑戦してみてください。
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回答はこのブログの最後のページに用意しておきますので、ぜひ最後までご覧ください。
前半【高齢者・障がい者虐待防止】

前半は【高齢者・障がい者虐待防止】について。
虐待は「絶対に起きない」ではなく、「いつ芽が生まれるかわからない」
まず冒頭では、過去に発生した重大な虐待事例を紹介しました。
入所施設「カリタスの家」で起きた行動障がい者への暴力や食事強要など、5年間で46件・約30人の被害者が出た事件。この例に、虐待が決して他人事にしてはいけないことを再確認しました。
「虐待は絶対に起きない」ではなく、「いつ虐待の芽が生まれるかわからない」と考え、風通しの良い職場づくりと小さなサインへの気づきが何よりも重要です。
法律に基づく通報義務
実は、介護職員は虐待を受けたと思われる高齢者や障がい者を発見した場合、速やかに市区町村などへ通報するよう努めなければならないと定められています。

研修では通報の際の留意点を参加者とともに確認しました。ここでは、ざっくりご紹介します。
- 虐待“かも”と思った時点で通報は可能
- 証拠は不要、匿名通報も可能
- 通報は個人でもOK(組織である必要なし)
- 通報者は解雇、その他不利益な取り扱いを受けない(※虚偽・過失通報を除く)
- 事業所での虐待の疑いがあれば、相談を受けた人にも通報の義務がある
虐待の認定は市区町村が行うため、私たちは「疑い」の時点で声をあげる責任があるということです。
虐待の種類とグレーゾーン
研修では、5種類の虐待について学びました。
- 身体的虐待(例:熱湯をかける、無理に食べさせる、ベッド柵で囲むなど)
- 性的虐待(例:人前で排泄させる、配慮なくおむつ交換するなど)
- 心理的虐待(例:ナースコールの無視、物を壊す、意に反しておむつ使用)
- 放棄・放任(ネグレクト)(例:ナースコールを遠ざける、呼びかけを放置)
- 経済的虐待(例:金銭の無断使用、不正・過剰請求など)
また、明確な虐待ではなくとも、「不適切なケア」とされる行為(配慮の欠如・尊厳の損失を招く言動)もグレーゾーンとして問題視されます。
こういったことを根絶するためにも、「虐待の芽を摘む」「ケアの質を高める」「職員の意識を高める」──この3点が、私たちの目指すべき姿勢です。
後半【身体拘束廃止・防止に向けた取り組み】

研修の後半は身体拘束に関する講義です。
身体拘束とは?
本人の意思に関係なく、行動の自由を制限することを「身体拘束」と呼びます。
研修では以下のような例が挙げられました:
- ベッドをサイドレールで囲み降りられなくする
- 車椅子にテーブルをつけ移動できなくする
- 向精神薬を過剰に服用させる
- ミトン型手袋で手の動きを封じる
判断のポイントは「行動の自由を制限しているかどうか」です。
なぜ身体拘束が問題なのか
- 身体的障がい:関節拘縮、褥瘡、転倒リスク増加
- 精神的弊害:不安、怒り、屈辱、認知症進行、せん妄
- 社会的障がい:職員の士気低下、事業所への信頼喪失
これらは本人のQOL(生活の質)を著しく損ない、結果的に医療費や介護負担の増大を招きます。
例外的に認められる「三要件」
緊急かつ、やむを得ない場合に限り、以下の3つすべてを満たした場合のみ一時的に身体拘束が認められます。
- 切迫性:生命・身体の危機が著しく高い
- 非代替性:他に方法がない
- 一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
ただし、この3つの要件をすべて満たしていても、必ず職員間・関係者と十分に検討することが必要です。
身体拘束をしないための3原則
- 身体拘束を必要とする要因を探り改善
例:自傷行為、興奮、転倒リスク、チューブ抜去など - 5つの基本ケアの徹底
「起きる・食べる・排泄・清潔・活動」のサイクルを大切に - 身体拘束廃止を“より良いケア”への第一歩に
生活環境やケア内容を見直すきっかけとし、ケアの質全体を高める
理不尽なことの先に…「だろう」ではなく「かもしれない」の意識を
研修の最後には、介護職員が実際にヒヤリとしてしまった経験を語りました。
数年前…あるご利用者様のケアに入った際に、こちらの介護職員は、そのご利用者様にとても理不尽な扱いをされたといいます。
とても物静かで優しい性格の職員さんではありますが、この時ばかりは…ほんの一瞬だけ頭に血がのぼった感覚に。気がつけば強く拳を握りしめていたといいます。
すぐに冷静になり、我にかえったという職員。
その場で、特に何かをしたというわけではありません。
しかし、とても屈辱的な気持ちになったそうです。
「もしこの時、我慢ができなければ…」「もしこの時、魔がさしていたら…」
「加害者になっていたかもしれない…」そう思うと、血の気が引いたそうです。
自ら“恥を忍んで皆さんにお伝えしたい“と話してくれたこちらの介護職員。
当時をふりかえり教訓を語りました。
「自分は虐待はしないだろう」ではなく、「もしかしたら加害者になってしまうしれない」
自分の感情に向き合うためにも、この意識を常にもっておく必要があると強く訴えました。
後述…「カスハラ」として訴える勇気
今回の研修では、「理不尽な言動を受け、感情が揺さぶられた瞬間」を正直に語ってくれました。その勇気に感謝します。
この件に関しては「カスタマーハラスメント」に該当するのではないかとも感じています。
たとえ行動に出なかったとしても、気づかぬうちに“虐待の芽”が生まれることがある──
この体験から私たちは、「自分は大丈夫」という油断を戒めると同時に、カスタマーハラスメントに該当するような行為には、職員が声を上げられる職場づくりの必要性を改めて感じました。
私たちは、ご利用者の尊厳と同じように、職員の尊厳も守っていきたいと考えています。
理不尽な言動や不当な要求に対して、「これはおかしい」と感じたときは、どうか一人で抱え込まず、報告してください。
会社としても、職員を守るための対応に全力で取り組みます。
「誰かを傷つけないためにも、自分を追い詰めすぎない」──
そんな意識を職場全体で共有し、風通しのよい組織を目指していきます。
最後に

虐待の防止も、身体拘束の廃止も、どちらもご利用者様の尊厳を守ることを土台としています。
今回の研修を通じて学んだことを、日々のケアの中で「気づき」として活かし、「風通しの良い職場」「早期発見・早期対応」「より良いケアの実現」へとつなげていきましょう。
ミニテストの答え
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【めぐみの会】では…

今後も定期的な研修や情報共有を通じて、利用者に対する安心・安全なサービス提供と、スタッフ一人ひとりの自己研鑽を推進していきます。
次回の研修にもご期待ください!
そして「めぐみの会では」、ここ練馬区の訪問介護の現場で一緒に働いてくれるヘルパーさんを随時募集しています。
「登録ヘルパーでスポット的に働きたい!」や「時給で働きたい」「正社員としてマネジメントもしたい!」という様々な要望に柔軟に対応させていただきます。
ご興味のある方は、下記リンクより採用ページをご覧ください。

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03-5923-9066(メディカル・アート/めぐみの会 総務部)